愛里紗と理玖の二人が改札を通り抜けた頃、二人の会話がようやく聞こえてきたので、遠目から静かに聞き耳をたてた。
「俺さぁ、最近UFO見たんだ」
「……えっ。いきなり何?」
「先日学校帰りに駅前からたまたま空を見上げたら、白い円盤みたいな機体を二機見かけたよ」
「やだぁ、UFOなんて怖いね。目的は何かなぁ…」
そう言いながら改札を出て来た二人の足は翔の隠れている右柱の方に向かって来たので、翔は二人に見つからぬようにと時計回りの方向に身体を移動させた。
すげぇ話題。
普段からこんな調子なのかな。
翔は軽く首を傾げながらも二人からはぐれないように、探偵のようにコートの襟を立てて顔を隠し、愛里紗が理玖に顔を向けた隙に見つからないようにと、時々サッと身を隠しながら二人から離れないように、ある一定の間隔を保ちながら後を追った。
だが、愛里紗が男と手を繋いでる姿を後ろから目で追っても、正直面白くないし恨めしくもある。