それから翔とおじいさんは池の脇にあるベンチに移動して、二人並んで腰をかけた。
おじいさんは、自分よりもうんと身体が大きくなった翔を見ると、立派な成長っぷりに感銘を受けてウンウンと頭を頷かせた。
「わざわざこの神社に戻って来た理由は、何か悩み事でもあったからかい?」
「おじいさんには分かりますか?」
「あぁ、君の悩みは愛里紗ちゃんじゃろ?」
「……っ…、何で分かったんですかっ?」
「君の事なら何でもわかる。何も話さなくても、その瞳が全てを物語っているからな」
遠くを見つめているおじいさんから目線を外した翔は、膝に肘杖をついて手を組んだ。
両親が不仲になる直前から知り合いだったおじいさんは、昔から翔の気持ちを誰よりも理解している。