初めて会話を交わしたあの日から、彼に会う目的で毎日のように神社へ通い詰めた。
学校が終わってから神社に行けば必ず彼に会えるから、毎日楽しみで仕方ない。

神社へ足を運んでいるうちに、彼が慕っているおじいさんとも仲良くなって、今日は家の縁側でお茶をご馳走になった。



「あの子は寂しい子なんじゃ…」



彼が鯉に餌をあげてる姿を遠目で見守っている間に隣に腰を下ろしたおじいさんは、彼について語り始めた。



「彼の父親は外に女を作って出て行ってしまったとか。母親は厳しい人だけど、家計を支える為に朝から晩まで働いていてほとんど家には居ない。だから、彼は母親が帰宅する夜までいつも一人で過ごしているんじゃ。せめて兄弟でもいれば良かったんじゃが…」

「……そう、だったんですか」



おじいさんから彼の家庭事情を知らされると、一人ぼっちで家に閉じこもる彼の姿を思い浮かべた。