ーー咲が転落事故を起こした時。

木村は私よりも先に咲の元へ。
階段を一段飛ばしで一目散に駆け寄ると、目の色を変えたまま咲の耳元で呼びかけ続けていた。

それからパニックを起こし立ち往生している私に向かって、先生を呼びに行くように指示。


その後は自分を責め続けていた私を励ましてくれたり、私の代わりに自宅へ電話をかけてくれたり、昼食を買ってきてくれたり、意識が戻らない咲を心配し続けていた。

咲が足を引きずりながら登校するようになってからも、教室の外から温かく咲の姿を見守る木村の存在には気付いていた。



木村のそういう一面を見ていたら、恋の力って凄いんだなって。
好きな人を支えるというのは、こーゆー事なんだって身をもって知った。



だから、そう遠くないいつか……。
木村の想いが咲の心に届きますように。