廊下に出てから、寒さで身を縮こませながら足早で購買部に向かった。
すると、咲は愛里紗のワイシャツの首元からチラリと覗かせているネックレスに気付く。



「ねぇ、理玖くんからプレゼントしてもらったそのネックレスって毎日身に付けてるの?」

「うん、これは私の宝物。だから、毎日肌身離さずつけているんだ」



愛里紗はそう言いながらワイシャツから人差し指でネックレスをクイッと軽く引き出す。
咲は久しぶりに愛里紗のネックレスをマジマジと見ると、少し羨ましそうに言った。



「理玖くんって本当にセンスいいよね。そのネックレスすっごくかわいい」

「えへへ…。私も気に入ってるんだ。……留め具のフック部分が少し弱っているから、新しいフックを買って修理しないとな」


「宝物だから落とさないようにしないとね」

「うん…。今日フックを買いに行こうかなぁ」


「一緒に見に行こうか?」

「ううん、大丈夫だよ!塾の前にアクセサリーショップに寄っていく事にするよ」



咲は引き続き理玖との恋を応援してくれる。

翔くんと衝撃的な再会を果たしても、理玖は私の彼氏で大切な人。
交際は順調だし、あれから何一つ変わりない。
誕生日プレゼントのネックレスは、私が理玖の彼女という証。

だから、毎日大切にしている。