父さんの幸せそうな表情から今の暮らしっぷりが伝わると、何処かホッとしている自分がいた。
お互い別々の道を歩み始めたとしても、親子として長年築いてきた絆は計り知れない。



もし、父さんが会いに来なければ、俺は父さんの諸事情や俺に対する思いを知らぬまま憎み続けていたのかもしれない。

今回、現実に目を向けるキッカケを与えてもらえた俺自身にとっても大きな成果になった。





父さんはふと何かを思い出したかのように、横に置いてある鞄を両手でガバッと開き、中をゴソゴソとあさり始めた。



「……忘れるところだった。翔、一週間遅れになったけど、十七歳の誕生日おめでとう」



鞄の中から取り出した物を俺の目の前にスッと差し出す。
それは、白い包装紙に金のリボンが巻かれてラッピングされている細長い箱だった。



「父さん、俺の誕生日を覚えていたの?」



俺は父さんの粋な計らいがとても嬉しかった。

照れ臭く受け取ったプレゼントの包装紙を開いて中の箱の蓋を開けると、中にはブラウンのレザーベルトで英数字の金の文字盤のシンプルな腕時計が入っていた。