父親は翔の背中に追い付くように小走りで後を追う。
成長した息子の姿に感銘を受けつつも、その成長っぷりが離れ離れだった時の長さを表していた。



「元気だったか?…怪我や病気はしていないだろうな……」



やけに自分の身体ばかりを気遣い、後ろに付きまとう父の問いかけに、翔は進ませていた足を止める。



「……今さら俺の前に現れて、一体何の用?」



振り返る事なくボソッと冷たく突き返したが、父親はようやく会話が成立した事に目尻を緩める。



「会いたかった。ずっと、お前を探していたんだ」



瞳を潤ませる父親。
だが、父親の一方的な見解が癇に障り、怒り心頭に発して振り向きざまに睨みつけた。



「俺と母さんはあんたがいなくて貧しい生活を送ってきたのに、今更のこのこと姿を現しやがって」



翔は胸に秘めていた思いを口にした瞬間、気持ちに歯止めが効かなくなっていた。