現実から目を逸らして逃げ続けていた私は、今回の一件で大人への道のりがまだまだ遠いように感じた。

でも、間違った道を正していきながら、少しずつ成長していけばいいと思う。
頑なに逃げるだけじゃ、いつまで経っても解決への道筋は開かれないのだから。



今回それを教えてくれたのは、親友 咲の存在。
私は翔くんとの別れがトラウマになっていたせいか、目の前の大切なものを見失っていた。




進行方向を見誤った私達は、こうして関係改善を図り、本来あるべき場所に戻る努力を重ねた。

今回の一件で、私達二人は甘みと苦味の両方の大人の味を覚えた。

様々な経験を重ねて少しずつ色んな味を覚えていきながら、一歩ずつ大人への階段に近付いていくのかもしれない。





同日、私は一人で木村のクラスへ行って、咲の病院後の状況を報告した。

『仲直り出来て良かったな』
木村は安堵したようにそう言った。



その足でノグのところへ行って先日借りた服を返しに行った。

ノグにも咲と仲直りした事を報告。
するとノグは『駒井さんと翔の件を黙っててごめん』と、あの時の事を謝ってきた。


振り返れば、翔くんとの再会後から私は沢山の人に迷惑をかけていた。