ーー咲の転落事故から翌々日。

咲は包帯を巻いた足を引きずりながら登校した。


斜めに流していた前髪はおでこのアザを隠す為にぱっつん前髪に切り揃え、顎のアザはファンデーション、切れた唇はピンクのリップで隠している。

顔は傷だらけで身体は痛々しいけど、暗い表情の彼女はもういない。


怪我を見る度に胸は痛むけど、『怪我は愛里紗のせいじゃないよ』と言ってくれるお陰で心は救われている。





私達は再び向き合う準備が整うと、以前話し合いを中断してしまった場所と同じ中庭に移動した。


あの時は、翔くんと再会したばかりで精神状態が不安定だったせいもあって聞く耳を貸せなかった。

でも、今なら素直に耳を傾けられる。