「ううん。私の方こそ耳を貸そうとしなくてゴメンね。咲は何度も謝りに来てくれたのに…」

「もう過ぎた話。…あ!それと、学校のトイレで悪口を言っていた一組の子からかばってくれてありがとう。あの時は本当に嬉しかった」


「あれは……。咲の悪口を聞いてたら、何か急に頭がカーッとなっちゃって、気が付いたら我を忘れて言い返してたよ。……それより、身体は大丈夫?」

「うん、大丈夫。節々痛むけど、思ったよりタフなんだね、私。……あはは」



私達は涙を流しながらお互いの心身を思い合った。






ーーそれから、約20分後。

病院を出てから久しぶりにスマホを開いた。

最後に開いたのは、木村に自宅へ電話をかけてもらった時。
その時は、木村に言われるがままに電話帳に手を伸ばしていたから、他のアプリまで目が行き届かなかった。



バックライトが照らされている画面には、理玖からのSNSメッセージが三通に、電話が一回。

私は母親と喧嘩をして家を飛び出したあの日と同様、再び彼に心配をかけていた。