愛里紗は引っ越しの荷解きも終わり、一日でも早くこの街に慣れる為に一人で街を探検する事に。


駅前は割と拓けていて、ショッピングセンターや数々のビルが立ち並んでいるけど、駅から南に10分歩くと昔ながらの田舎らしさが残っている。

昭和時代に建てられたと思われる古い家屋や、昔ながらの商店や畑。
一車線道路は5分に一台車が通過する感じ。



静寂に包まれている街並みは、以前住んでいた街とさほど変わらない。

街の新しい香りに包まれながら、街の一つ一つに初めましての挨拶をするかのように、ゆっくりと見渡しながら、街の風景を目に焼き付けていた。





すると、たまたま通りがかった空き地の横に古くて小さな神社を発見。
思わず興味が湧く。


空に向かって立派に柱が伸びているコンクリートの鳥居の奥には、経年劣化によって所々と塗料が剥がれている古めかしい本殿が建っている。



惹きつけられるかのように鳥居の前に立って神社の中を見渡していたその瞬間、背後からブワッと強い風が吹いた。

まるで、いまこの神社の中に入りなさいと言わんばかりに……。