咲は痛々しく悶えながらベッドから身体を起こす。



「…っあー、イテテ」

「咲っ!無理しないで。身体中傷だらけなんだから安静にしないと」


「あ、ううん。…それより、愛里紗の傷は大丈夫?」

「……何言ってるの?怪我をしているのは咲の方だよ」


「私よりも愛里紗の心の傷の方がずっと深いはず。私は自分の幸せばかり追い求めてたから、きっとバチが当たったんだね。ほら、私って結構ヒドイでしょ」



咲は私が散々酷い態度で接してた事なんて忘れてしまったかのように苦笑する。



「私の方こそキツく当たりすぎたから。それに階段で咲の手を振り払っちゃったし」

「怪我をしたのは愛里紗のせいじゃない」


「でも……」

「私の不注意だった。あの時は謝る事で精一杯だったから足元の事なんて気にしてなかったよ。愛里紗……、傷付けちゃってホントにホントにごめんね」



正直、胸が押しつぶされそうだった。


裏切られていたと知った時は、何で自分だけ惨めな想いをしなきゃいけないんだと思っていたけど…。

咲の方こそ、翔くんとの経緯を素直に白状したのにも拘わらず、謝罪どころか話さえ受け入れてもらえない状況になって、この一ヶ月間充分に苦しんでいた。
白状するのだって、どれほど思い悩んだ事か。

それに加えて両親の離婚。
心の傷は計り知れない。