心身共に衰弱しきっている愛里紗は、咲の眠るベッドに顔をうずめて咲の目覚めをひたすら待った。



今日は咲に謝る事が出来ないまま、面会時間を終えちゃうのかな…。



愛里紗は不安ばかりが付きまとう。
だが、抜け殻状態になっている身体だけでもいいから今すぐ謝りたくなった。



「咲……。大嫌いなんて嘘だよ。本当は大好きだよ。何度も謝ろうとしてくれたのに、話すら聞いてあげなくてごめんね。


今更言うのは卑怯だけど、咲が大好き。…ずっとずっと大好き。嫌いだった日なんて一日もないよ。嬉しい時も悲しい時も辛い時も、一番近くで分かち合ってくれたのは咲だけだよ。


本当は話さなかった一ヶ月間が何よりも辛かった。失ってみてようやく大切さに気付いたよ。気付くのに時間がかかってごめんなさい。


それと、両親の離婚という辛い状況を抱えていたのに気付いてあげれなくてごめんね。話を聞いてあげれなくてごめんね。一分一秒でも早く謝りたいよ……」



まるで念仏を唱えるかのように、ベッドに寝静まる身体に向かって今の想いを伝えた。
顔をうずめている布団は、次々と溢れ出る涙が染み込んでいく。