木村は包帯が巻かれてベッドに安静にして眠る咲の姿と、隣で泣き崩れた愛里紗の姿を見て、関係改善を見越して配慮する事に。



「じゃあ俺、もう帰るから。駒井と仲直り出来るといいな」

「木村……。色々ありがとう。木村のお陰で助かったよ。私一人だけじゃ何も出来なかったから」


「そんな事ない。……じゃ、またな」



別れの合図をするかのように軽く手を上げて病室を去る木村に、その場から手を振って見送った。

咲と二人きりになると、隣に私が居る事さえ知らずに寝静まる咲の手を握り、外が暗くなった後も隣で付き添った。







ーー木村が帰宅してから、およそ20分くらい経過。

廊下を行き交う足音の回数も、時間と共に減っていく。

咲は眠りについたまま。
夢の世界から一向に戻って来る気配は無い。