全身傷だらけの咲の姿を見て心を痛めた愛里紗は、咲の手をギュッと強く握りしめてベッドに顔をうずめて呟いた。



「傷つけちゃってごめんね。苦しんでいたのに気付かなくてごめんね。精一杯謝ってくれたのに、耳も貸さずに本当にごめんね…」



ザラついてる包帯を巻き、つめたく冷え切った咲の手を握りしめてるうちに、溢れ出てきた涙は震えと共に止まらなくなった。

でも、すすり泣いているうちに、咲が普段言っていた何気ない言葉の数々が蘇っていく……。



『愛里紗の事だって負けないくらい大好きだよ。愛里紗の良い所は人一倍お人好しで優しいところ』

『そんな愛里紗が…ぜーんぶ、ぜーんぶ大好きなんだもん!』

『愛里紗の事も大好きだって言ったでしょ。忘れちゃったの?』

『愛里紗が友達で本当に良かったよ』



バカだ…、私………。

咲はいつも私を一番に想ってくれたのに。
私は咲の話を最後まで聞こうとしないで逃げてばかり。



『……愛里紗。だーい好き!ずっと私の親友でいてね。約束だよ!』



私、何をやっていたのかな……。
咲に残酷な目に遭わせるくらい恨んでいたワケじゃないのに。




それだけじゃない。
先日理玖からも言われた。



『久々に再会したら、無理に笑っていた過去のお前はもういなくなってた。多分、咲ちゃんだろうな。お前を変えたのは』



咲の存在は大きかった。
理玖と自然消滅した直後に出会い、若葉に水を与えるような感覚で毎日笑顔を与えてくれた。

自分の事なんて二の次。
頼まれた事は断らないし、高一の頃から与えてもらったものは数しれない。

後悔してからじゃ遅いけど、咲の身も心もボロボロになるくらい酷い事をしちゃったよ。






ごめんね…、咲。
目が覚めたら仲直りしたい。
許してもらえなくてもいいから、ちゃんと目を合わせて謝りたいよ。