私達二人は315号室の部屋を探し出した。
病室扉前に足を止め、扉のすぐ右横にあるプレートで部屋番号を確認。
部屋番号の下のネームプレートには、《磯貝 咲》と書かれている。
見慣れない名字に戸惑って、木村とお互い顔を見合わせる。
「『駒井』は《磯貝》になってたんだな。だから、受付で名前を聞いても見つからなかったんだ」
「誰……。そんな名字、私は知らない」
愛里紗はショックのあまりに涙を浮かべる。
保健室で養護教諭から受け取ったメモを頼りに、咲を追うように搬送先の病院に向かって受付で問い尋ねても、《駒井 咲》という名前の記録がないと不思議な顔をされた。
でも、その理由がいま明らかに。
咲は新しい名字で病院に搬送されていたので、《駒井》の名字で見つからないのは当然だ。