一瞬、我が耳を疑った。

養護教諭から渡されたメモには、確かにこの病院名が書いてあったから。
信じ難い気持ちに包まれながらも、もう一度確認する。



「学校からは、こちらに搬送されたと聞いたんですけど」

「申し訳ございません。全てのデータに目を通しましたが、駒井様のお名前は登録されておりません」

「嘘だろ……」


「何か手違いがあるかもしれないから、もう一度よく調べて下さい」

「おい、江東……」

「何度も申し上げますが、本日搬送された患者様の中に駒井様というお名前は確認出来ません。ご自身の方でもう一度搬送先の病院をご確認されてはいかがでしょうか?」


「何言ってるの?学校で先生が書いてくれたメモを頼りにここまで来たんだから、私は間違ってない!咲は絶対この病院にいるはず……」

「おいっ……江東。落ち着けよ」

「申し訳ございません」



受付事務員の事務的で一点張りな対応を目の当たりにした瞬間……。
三時間前まで言い争っていたはずの咲が行方不明になった。