ーー全部私のせいだ。


私が咲の話に耳を貸さなかったから。
無視し続けていたから。
咲の気持ちを踏みにじっていたから。

私がつまらない意地さえ張らなければ、咲は怪我をしなかった。





愛里紗は波のように押し寄せてくる後悔と罪悪感に塗り固められていく。



咲はストレッチャーに乗せられて救急車に運ばれていく。
愛里紗と木村は言葉を失わせたままその様子を遠目から眺めていた。



愛里紗は咲の安否が気になるあまり、搬送先の病院まで付き添おうと思い身を乗り出すが、木村は身体を引き止めようとして手首を引き寄せる。



「何やってんだよ。お前が一緒に救急車に乗り込んでもしょうがないだろ。ここは担任に任せよう」

「私が悪いの……。私が咲の手を振り払って押したの。私がっ…………。だから、お願い。一緒に病院へ行かせて」


「ちょっとは落ち着けよ。自分を責めても何も生まれない。それに、駒井が転落したのは江東のせいじゃない」

「そんなの、嘘。…私がこの手で押したの。代わりに私が落ちれば良かった。咲に散々酷い事を言ったから、私にバチが当たれば良かったんだよ」


「しっかりしろ!駒井ならそうは思わないはずだ」

「万が一、咲に何か遭ったら…。意識が戻らなかったら……、死んじゃったら……。私はどうしたらいいかわかんないよ…………。咲の事を世界で一番好きなのはこの私なんだからぁ……」



愛里紗は感情的に涙を流しながら、木村の手を振り解こうとしてもがく。