『今なら仲直り出来るかもしれない』



咲は愛里紗が一瞬だけ覗かせた小さなチャンスに賭けた。
立ち去ったばかりの愛里紗の後に離れぬように追いかけていく。



「愛里紗…」

「来ないで」


「いま悪口を言っていた彼女達から私を守ってくれたんだよね」

「……」


「『咲の悪口を言っていいのは親友の私だけ』だって。『咲の事を私が一番よく知ってるから』って。『傷付けるなんて許せない』って」

「……」


「それは今日だけじゃない。以前も私の見てないところで同じように守ってくれた」

「……」


「愛里紗、ごめん……」

「絶対許さないから…」


「どうしても仲直りしたい……」

「咲がした事を忘れたの?」


「愛里紗の気持ちを考えずに、何であんなに酷い事をしたんだろうって反省してる」

「もうやめてよっ!」



咲は横に追いつくが、愛里紗はお冠に。
だが、諦めの姿勢を見せずに間髪入れず呼びかけ続けた。