愛里紗に何度も謝罪の言葉を重ねても、まともに取り合ってもらえなかった。



『ごめん』
『私が悪かった』
『反省してる』



謝罪言葉の三セットが口癖みたいになっても、私は誠意を示す為に彼女の背中を追い続けた。


私の中で愛里紗は特別。
どんなに辛い状況が押し寄せていても、親身になって支えてくれたのは世界でたった一人。
私には愛里紗しかいないから、仲直りが出来るように何度も何度も伝え続けた。



でも、マトモに取り合ってもらえない。
与えてしまった傷の深さは予想以上。
最近はもう許してもらえないんじゃないかと思って、諦めかかっていたところだった。


だけど、例え喧嘩をしていても心の中では繋がり合っていてくれたと知った瞬間、はち切れんばかりの思いが胸の内を襲った。



一方、不意打ちを食らった愛里紗はハッとした目で振り返る。



咲を許した訳じゃない。
許すも許さないも、咲がしてきた事は常識の範囲を超えている。

だけど、彼女達の悪口を耳にしたら居ても立っても居られなくなっていた。



愛里紗は心を覗き見されたような不都合な気分になると、咲の横を過ぎって廊下側へ逃げるように出て行った。