愛里紗は彼女達の前にふらりと姿を現すと、悔しさが込み上がるあまりキツく目を吊り上げた。



「……何でそんなに悪口を言うのかな」

「えっ、何…?」

「ねぇねぇ、またコイツ来たよ。この正義感がうざくない?」

「あんたさぁ、いきなり人の話に割り込んでくるの辞めてくれない?」



三人組は腕組みしながら勝気な態度で愛里紗に詰め寄る。
だが、愛里紗の気持ちは収まるどころか煮えたぎっていく。



「………咲は、咲はね。小さい頃から教師になるのが夢なんだよ」

「はぁ?だから何だっつーの?」



「咲は第一志望の大学に合格出来るように、帰宅してから毎日一時間その日に教わった授業内容を復習してるの。大学に合格したら教員免許を取るんだって意気込んでた。前回の期末テストだって、アルバイトをしつつも成績を落とさないように努力してたんだよ。…それなのに媚びを売ってる?あなた達は咲の何を見て言ってるのよ」

「…………」


「咲の悪口を言っていいのは親友の私だけ。それは、私が咲の事を一番よく知ってるから。誰でも言っていい訳じゃない。咲の中身を知りもせずに想像だけでモノ言うなんて許せない!傷付けるなんて許せない!絶対、絶対許せないんだからぁ……」



愛里紗は怒鳴り声で三人組にありったけの思いをぶつけると、悔しさのあまり大量の涙がポロポロ溢れ出した。