ーーお正月モードから普段の日常生活へと切り替わり、短い冬休みに終わりを告げたある日。

いよいよ二年生最後の三学期を迎えた。



遠くの席から暗い影を被った咲の姿を視界に捉えつつも、まるで咲を気にしている自分を誤魔化すかのように、わざと顔を背けてシャープペンを強く握りしめた。



小学生の頃、翔くんとの仲を妬んだミクに上履きを隠された事はあっても、心底人から裏切られた事はなかった。

これまで平穏に過ごしていたせいか、身に降りかかる悲劇に耐性がついていない。
親友として絶大な信頼を寄せていた分、裏切り行為が許せずに嫌悪感だけが残っていた。


『ごめん』で済むような話なら、こんなに深く傷付かない。


でも、本当はこんな自分は醜くて大嫌い。




だが、そんな未熟で不完全な我が身に、胸が張り裂けそうなほどの辛い事件が襲いかかった。