ーー家に着く頃はすっかり日も落ちていた。

私の家の前に到着すると、理玖は別れ際に身体を向かい合わせにして、両肩にポンと手を置いた。



「少しは気ィ紛れた?」



最近気を落とし気味だった私の気分を伺うかのように、ニコッと笑顔を向けた。



その瞬間、私が好きなものや苦手なものまで色んな乗り物に乗ったりあれこれ連れ回したのは、暫く元気のなかった私を励ます為の気遣いだと知る。



理玖の優しさが更に心を惑わす。
それと同時に、自身の裏切り行為が強く胸に突き刺さった。




でもね…。
今日は理玖と遊園地で遊べて、本当に楽しかったんだよ。

ホントだよ……。






こんな幸せを噛み締めていながらも、やっぱり心の片隅でポッカリ穴が空いたように思えるのは、ケンカ別れをした咲の事が気になって仕方がないから。



本当は喧嘩をしたあの日から気になっている。
咲は何度も何度も私に謝ろうとして、しつこく後を追いかけてきたけど…。

私が話す姿勢を向けないから、いつしか諦めるようになった。



いま私達の関係はボロボロで、学校ですれ違っても赤の他人のよう。
姉妹のように仲良くしてた頃が嘘みたいに。



でも、自分こそ翔くんと抱き合ってしまったから、裏切り行為だとは思うけど。
意図的に私の髪型を真似させて告白しに行った咲の行為は簡単に許せる問題ではなかった。