今の自分表情は鏡を見なくてもわかる。

多分、顔面蒼白で血色の悪い紫色の唇。
クーラーが直接当たらなくても、顔は冷たくて全く血が通っていないのがわかる。
身体もたまに震える。


ある意味、お化けもびっくりしちゃうほど顔色が悪くて、勝るとも劣らないかもしれない。
もしかしたら、今は私もお化けの一員かもね。



愛里紗は恐怖を訴えるかのように、理玖のジャケットの袖を二回引き、冷や汗でビッショリの青白い顔を向けて弱音を吐いた。



「理玖、怖いよ………。早くお化け屋敷から出たいよ」

「お前、羨ましいくらいにお化け屋敷を満喫してんな」


「……本当にそう見える?エンジョイしてるように見える?…いまマジで怖いって言ってんだけど」



私が半目涙で恐怖を訴えているのに、理玖はふざけ半分で意地悪を言う。
不満が募ると、フンッと口を尖らせてそっぽを向いた。

すると……。



「俺が守るから大丈夫だよ」



理玖はさらりとクサい台詞を吐くと、いつものように頭をポンポン二回叩いた。



最近、その優しさがストレート級に響くようになり、彼の隣にいる居心地の良さを実感するようになっていた。