冷気と爆音と衝撃的且つ刺激的な遭遇の繰り返しで、お化け屋敷の恐怖に耐えられないが、何とか気持ちを立て直しながら大量の手汗をかいてビショビショの手のまま先を進む。

だが、この時点でお化け屋敷に入ってからまだ2分も経過していない。




ガタガタガタ…「ニャー」(墓地の複数のお墓が一斉に動き出し、その奥から化け猫が出てきた音)


「ギャーーーっ!」

「あはは」



理玖はお化け屋敷に慣れてきたのか笑い声しか聞こえないが、全く慣れない私は恐怖のあまり悲鳴の次に手で顔を覆った。



……やだ、驚かさないでよ。

何?
次は化け猫?
私、猫アレルギーなんだけど、この距離があれば大丈夫かな。
まさかあれは本物の毛じゃないよね。


なんか…クシュン……。
アレルギー反応っぽくなって、鼻がムズムズしてきた。



……ってか。
はっきり言って怖い。
お化け屋敷なんてマジで無理っ!



ここはお化け達が脚光を浴びるチャンスなのかもしれないけど、客の誰もが好意的に受け入れる態勢じゃないんだよ。
苦手な人だって大半だし、誰もが好遇してる訳じゃないんだよ。


あー、もーヤダ…。
怖いし、いちいち音が大きいからビックリする。



しかも、理玖はこんな私の反応を見て楽しんで、指をさしてずっと一人で笑ってるし…。
もう、薄情なんだから。