お化け屋敷の入り口からは不安を煽るような音が聞こえてきた。
履いてきたブーツには車輪がついていないのに、まるでローラースケートに乗ってるかのように引きずられていく。

踏ん張るようにブレーキを踏んだが、身が軽すぎるせいか使い物にならない。



理玖はお化け屋敷にテンションMAX。

一方、怖くてひっ迫している私は全く乗り気ではなく、足を踏み入れた瞬間全身の血の気が引いた。



お化け屋敷の中は真っ暗で、所々にぼんやりと薄暗い照明。
オシャレなやつじゃなくて青白くて不気味な方。

たまにゆっくりと火の玉のような映像も、チラホラと視界の隅に入ってくる。


ビクビクと身体を震わせ、理玖と手を繋ぎながら少し歩くと、突然大きな音がまだ見えぬ向こう側から鳴り響いた。



やめてよ……。
無駄な効果音でこの先に何があるか予測出来ちゃうじゃん。


しかも、中は寒くてひんやりしてるけど、冬場なのにクーラーを効かせてるの?
エコな時代だから省エネで全然構わないのに。

要らないよ、無駄だよ、怖いよ、こんな演出。