いま物凄いスピードを出して地獄へと突き進んでいるジェットコースターの乗客は、目をひん剥きながらキャーキャー悲鳴を上げている。
それを見て怖気付いてる私は、余計に恐怖が煽られている。



目の前のジェットコースターに恐怖で足が竦むと、一応再確認の為にジェットコースターの方に指をさした。



「あのっ……。ま、まさか……こっ…これは……」

「めっちゃ楽しそうだろ。ラッキー!今なら空いてる」


「あっ、いや…私はいいから。理玖一人で行って…おいで…」

「はぁ?!何言ってんの?このジェットコースターは遊園地の目ん玉だろ?ほら、こんなところで足を止めてないで早く行かねーと、あっという間に混んじゃうだろ」


「目ん玉って言うか、目玉ね。でも……、ちょっとこれは…」



ジェットコースターを楽しみにして、ワクワクして足取りが軽い理玖に対して…。

冬と言えども恐怖のあまり冷や汗で全身ビッショリになっている私は、小刻みに両手を横に振り、引けた腰でゆっくり後ずさりをした。