世間が冬休み期間に突入したせいか、理玖と二人きりで来た遊園地は開園前から混雑していた。


理玖が窓口でチケットを購入している間にザッと辺りを見回してみると、親子、カップル、友人同士が遊園地の入場口に吸い込まれるように入って行く。

今日は私達も遊園地を楽しみにしている一員に。




最近、制服デートを繰り返していたから、初めての遠出デートにお互いビックリするほどオシャレをしてきた。

『そのジャケットかわいいね』…なんて、彼の何気ない褒め言葉だってくすぐったい笑顔が生まれる。



朝からご機嫌の理玖。
受付で受け取ったパンフレットを見て、どれから先に乗ろうか食い入るように見ながら悩んでいる。



「ねーねー、アレに乗ろ!」



理玖は目の前で高く指をさして目をキラキラ輝かせながら私の肩を組んだ。



「そんなにはしゃいじゃって…。小学生じゃないんだから」

「俺はアレがいい!」


「あー、はいはい。わかったから」



理玖は相変わらず甘え上手。
口を尖らせながら可愛く甘えられちゃうと、ついつい甘やかしたくなっちゃう。



「どぉれ?」

「ほら、アレ!アレが一番に乗りたい!」



肩をがっしり掴まれたまま、意志とは関係なく連れて来られた場所。
指先をなぞるように見上げたその乗り物とは…。



「嘘でしょ…」



この遊園地の大目玉である絶叫マシンのジェットコースターだ。