お互い口を塞ぎ込んでから、およそ3分くらい経過していた。
公園の時計の針が少しだけ下に傾いていたからそう思った。


彼の返事に集中しているせいか、夜風が草木を撫でる音や、公園前を通り過ぎる車の走行音すら耳に入らない。

分厚いストールを首に巻きつけていても、乾いた冬の風が手足の先端を冷たくさせている。



唯一、体温を感じているのは涙を滲ませ続けている瞳だけ。
異常なくらい熱を帯びている。



あれこれ手立てをして別れを拒み続ける私に、彼は何も語らぬまま。
不甲斐ない私は彼の答えが出るのを待ち続けている。



最後の切り札は、別れを思い留まる準備をしてくれていると願いたい。
その反面、彼を失ってしまうかもしれないという恐怖に駆られている。



無言に過ぎ去る時間は、ギュッと胸が締め付けられる時間。
本当は苦しくて耐えられない。