家族と変わらないくらい大切な存在の愛里紗を失い、あまりにも軽率な判断を下した自分に嫌気がさしていたのに……。
翔くんまで失ってしまったら、本当に心の拠り所がなくなってしまう。



好きじゃなくても。
ううん、好きにならなくてもいいから。

私の傍から離れて行かないで。
お願い。


私にはもう翔くんしかいないの………。






咲は翔が思い止まってくれる事に期待を込めながら、震える指先で翔の腕にしがみつく。



「…何……言ってるの。私が何か悪い事をしたかな」

「いや、咲ちゃんは悪くない」


「嫌っ…、別れたくない。私が悪くないなら、もう一度考え直し…」
「ごめん……。これは俺の問題だから」



翔は、咲の気持ちをシャットアウトするように揺るぎない気持ちを伝えた。