着信履歴をなぞるように目で辿った後、21通届いていたSNSメッセージを一つ一つタップとスライドを繰り返しながら時間が古い順に読み始めた。



《12:36 13時に迎えに行くから家で待ってて》

《13:17 今どこにいるの?》

《14:28 スマホ開いたら連絡ちょうだい》

《20:43 まだ帰ってないの?帰ったら必ず連絡して》

《23:02 ケガはしてない?連絡ないけど体は大丈夫?》

《02:15 心配だから早く連絡が欲しい》



約束をすっぽかされた上に連絡もよこさずに、一晩家に帰って来なかった私に向かって『何も聞かないよ』だなんて…。

こんなに心配かけているから怒鳴ってもおかしくないくらいなのに。



理玖…。
優しすぎるよ。


聞きたい事は沢山あるクセに。
バカだよ…。
格好つけないでよ。

我慢しないで言いたい事を言って、感情をむき出しにして怒ればいいのに…。



《07:23 早く会いたい》



それなのに、私は理玖の知らないところで翔くんの香りに包まれていた。


さっき理玖に抱きしめられた時に身体についていた翔くんの残り香が、理玖の身体に重なってしまったかもしれないというのに。






最低……。

告白を受け入れたあの日から、理玖を大切にするって決めたのに。
長年の想いを受け止めてようって心に誓っていたのに……。