ーー街を包み込んでいる空が静寂に包み込まれた頃。

翔と別れた愛里紗は、約一日ぶりに自宅に戻った。

インターフォンのモニター越しの母の声が届くと、ダークな声をインターフォン越しに伝える。



「……ただいま」



約一日ぶりの娘の声を聞いた母は、バタバタと足音を立てながら玄関の扉を勢いよく開けた。



「愛里紗…。昨日はごめんね。あんたの言う通りお母さんが間違ってた」



母は昨日逃げるように物置から飛び出して行った私を心配していたのか、昨日の事を謝罪してきた。



「ごめんなさい」



目線を合わさぬまま無表情に小声で謝ったのは、許可を得ぬままノグの家に泊まりに行った事。
手紙を隠した事を許した訳じゃない。


首を長くして手紙の到着を待っていたのだから、たった一日程度で許すはずがない。

だけど、心配をかけた事に違いないから、それについて謝っただけ。




今はどんなに頭を下げて来ても、母に対してこれ以上の言葉をかける気はない。