「…っ…あ゛あっっ………」
恥じらいを捨てて声を荒げて泣いたのは何年ぶりの事だろうか…。
ーーもう、限界だった。
一つ一つ大切に積み重ねてきた事や、守ってきたもの。
彼の胸の中は、その全て捨てても構わないと思うほど私の理性を崩壊させた。
愛里紗は翔の胸の中で懐かしい香りに包まれながら頭をうずめてヒクヒクと肩を震わせる。
翔くん。
会いたかった…。
ずっと……ずっと…会いたかったよ。
愛里紗は手紙をクシャリと握りしめながら翔の背中に両腕を回す。
一通目の手紙に書いてあった通り、翔くんは会いに来てくれた。
ここに来るまで四年九ヶ月という長い時を経て。
約束はしてないし、会えるかどうかもわからないのに……。
「悪かった」
彼は耳元でそう囁くと、私を包み込むように腕を回した。