愛里紗はやるせない気持ちを抱えながら、手元の手紙を大きく震わせながら大量の涙を滴らせていた。



ようやく会えたのに、泣いてる姿なんて見せたら迷惑かけちゃう。
翔くんは私の事情なんて知らないのに。

私ったらバカだよね。




愛里紗は顔を俯かせながら手の甲で滴る涙を拭っていると…。


ガバッ……


翔は突然右手で愛里紗の頭を自分の胸に押し当てて言った。



「…長い間、寂しい想いをさせてごめん」



耳元でそう囁く彼からは、フワリと懐かしい香りが漂ってきた。




私は長らく恋焦がれた香りが鼻に届いた瞬間……。
咲の彼氏だと一線を引いていた自分に歯止めが利かなくなった。