レストランで再会した時はゆっくり話せなかったし感動に浸る間もなかったけど……。
立ち上がってから改めて思った。
小学生当時、背の順は後ろの方だったけど、今はモデル並みに高くなった。
呼び捨てにした声だって、もう大人の声。
成長と共に顔立ちはシャープになり、身体つきもガッシリして一人前の男性になった。
でも、黒髪は相変わらず癖っ毛なんだね。
数年ぶりに神社に現れた彼は、心の中まで見透かしそうな瞳で真っ直ぐに見つめる。
だから私も心奪われるように彼から目が離せない。
「手紙の返事、まだ来てないよ」
翔は首を傾けて長い睫毛の目を細めて言った。
手紙……?
あ……、そっか。
昨日翔くんからの手紙を受け取ったばかりだったね。
物置を飛び出す前に握りしめていた手紙は、あれから見る余裕がなくて、今朝ノグに借りたコートのポケットの中に突っ込みっぱなしだった事をすっかり忘れていたよ。