涙が枯れ果た目は腫れ上がってジンジンとした痛みを感じる。
昨日から泣き過ぎたせいか、声は掠れていて喉はカラカラ。


疲れきってぼんやりと放心状態になった頃、神社を訪れていた参拝客の声は耳に入らなくなり、夕方を知らせるチャイムは街中を包み込む。


日没の時間に合わせてチャイムが鳴るから、現在の時刻は判明していた。




空は暗くなってきたし、もう帰らないと……。

ノグに服とコートは借りたけど、足はサンダルのまま。
長時間同じ体勢で座り込んでいたから、身体は隅々まで冷え切っている。
朝以降食事をしていないからお腹も空いた。



愛里紗は一日ぶりに自宅へ帰る決心をすると、重い腰を上げてスカートについた砂をサッサと払い、軒下から本殿の正面へ回った。