大親友の咲と母親だけじゃなくて。
昔から友達の私よりも、顔見知り程度の咲を優先して秘密を守り抜いたノグ。

今回ばかりは想像以上に傷付いた。



愛里紗はベンチからスクッと立ち上がり、やつれた顔を向けた。



「家に泊めてくれてありがとう。服は後日返す。……ごめん、今日はもう帰るね」

「待って、愛里紗っ…」



愛里紗は手のひらを返したような冷たい態度に急変すると、焦って腕を掴んできたノグの手を振り切り走って公園を後にした。





頭がパンクしそう……。

度重なる恋の障害に、過去に置いてけぼりな私。
どうしてこうなったのか。

いっぱい考えてもわかんないや……。





ノグと別れた愛里紗が滝のように大量に滴らせた涙をゴシゴシと袖で拭いながら、進ませていた足が自然と辿り着いた先は…。

小学六年生の頃、翔と二人きりで毎日のように一緒に過ごした、思い出のたっぷり詰まっているあの神社だった。