愛里紗は世間話に一旦きりがついたタイミングを見計らい、固く震わせた唇をぎこちなく開かせた。



「実は………、先日偶然にも谷崎くんと再会したの。咲のアルバイト先で…」

「……そう」


「そしたらね!そしたら………、咲と谷崎くんがいま付き合ってると聞いて…。咲が前々から話していた中学生の頃からの好きな人が谷崎くんだという事をその時初めて知って…」

「…うん」


「後日、話をよくよく聞いていくと、私と谷崎くんの関係を知ってみたいで……。私達が再会したら、自分に勝算がなくなるから告白日を前倒しにしたって。……しかも、谷崎くんの心を刺激する為に私自身に自分と同じ髪型をセットさせて、身なりを近付けてから告白しに行ったって」

「………」


「咲に新しい彼氏が出来たって喜んでいた時に、名前を聞いたら誤魔化すし、写真すら見せようとしないし、彼氏と一緒のバイト先に来て欲しくなさそうな言い方をしてたから、薄々おかしいなって思ってた」


「………」


「谷崎くんの存在を隠すどころか、少しも気付かれないように、再会させないように仕組んでいたなんて信じられなくて……。咲の事を信じてたのに…。一生の親友だと思っていたのに……」



一度語り始めたら不思議と止まらなくなった。


つい先日咲が言っていた一つ一つの言葉を思い出し、感情を爆発させながらも胸の中に留まっていた想いを吐き出した。



愛里紗は気持ちを吐き出したと同時に、丸めた肩を震わせながら瞳から大粒の涙をポロポロと滴らせた。