家を飛び出てから、どれくらい時間が経ったのだろうか……。

曇り空の景色は時間経過と共に移り変わり、お弁当箱を広げていた親子は、いつしか姿を見せなくなった。



時間が進むにつれて、公園に遊びに来る子供の年齢層が高くなる。
遊具で遊ぶ音も一層激しくなり、ベンチにうずくまっている私の耳に伝わってくる。





午前中に家を飛び出したけど、お腹が空いてる事すら忘れて泣き崩れていた。
日が傾いてきたからふと公園の時計を見上げると、時計の針は16時を過ぎている。



でも、時計を見た途端、ふと大事な用事を思い出した。



そうだ…。
お母さんの事ばかりに気を取られていたけど、今日は13時から理玖と約束していたんだった。

約束の時間はもう3時間も過ぎている。
約束をすっぽかした上に、手には何も持たずに家を飛び出して来たから連絡手段もない。


この公園から理玖の家は割と近いけど…。

今日は会えない。


真っ赤に泣き腫らした目と、ぐしゃぐしゃになっている気持ちじゃ、とてもじゃないけど顔を合わせられない。



太陽が沈み始めると気温は更に下がり、寒さはいよいよ限界を迎えてガタガタと身体の震えが止まらなくなった。

このままでは身がもたない上に、自宅に帰る気はなかったので、とりあえずノグの家に向かう事に。