ラフなスウェット上下でベランダのサンダルを履いたまま、目の色を変えて物置を飛び出してきたけど……。
頭が真っ白だったせいか、後先の事なんて考えておらず当然行き場などない。
季節は冬。
今日の最高気温は12度。
日中の寒さもだいぶ厳しくなってきた。
身を縮こませても、冷たく吹き付ける風が身体の隅々まで氷固めてしまうのではないかと思うほど寒い。
せめて上着だけでも着てくれば良かった。
谷崎くんからの二通目の手紙をズボンのポケットにしのばせて、身を震わせて町中を彷徨いながら、どこへ行く訳でもなくふらふらと行き着いた先は、自宅から徒歩20分くらい先にある大きな公園。
部屋着姿のままだし、だだっ広い公園ならすぐに見つからないと思ったから、暫くここに滞在する事にした。