愛里紗は一通目の手紙を膝に置いて、二番目に古い消印の手紙を手に取って封を開けようとしていた、次の瞬間……。

物置の向こう側から母親がバタバタと大きな足音を立てながら、地べたに座る愛里紗の背後へとやって来た。



顔面蒼白の母親の視界には、左腕で滴る涙をぬぐいながら二通目の手紙を手にしている娘の姿が。

時は既に遅しと気付くと、背後からため息混じりにポツリと呟く。



「愛里紗…」



物置にホウキとチリトリを取りに行って戻りが遅い私を呼ぶ為だけなら、わざわざ走って来ない。

背後から気まずそうに呟く母には、わざわざここに出向くだけの理由があった。