散らばっている手紙を全て両手ですくい上げて消印日付の一番古い手紙を探し出して、第一通目とされる手紙だけを手にしたまま封を開けた。



これは、別れてから彼が一番最初に書いた手紙。
一体、何が書いてあるのだろうか……。



封筒の中で二つ折りにされた一枚の便箋を取り出し、中身を開けた。



『愛里紗、元気?』



合ってる…。
濃くて大きくて力強い字。
これは間違いなく彼の筆跡。

両手で開いた手紙からは、つい最近まで忘れていた彼の香りがふんわり漂ってくるような気がした。



愛里紗は翔の字を目にした瞬間、懐かしさのあまり涙がジワっと込み上げてきた。



一瞬夢じゃないかと思い、一旦膝元に置いた封筒を再び裏返しにして、送り元の住所を確認する。



”三鷹大平町”



間違いない……。
三鷹大平町は咲の自宅近辺だから、手紙は間違いなく谷崎くんから。



愛里紗は懐かしさで胸がいっぱいになりながら、手紙の続きを読み始めた。