物を落とした衝撃で、身体はあっと言う間に埃まみれに。
消沈しながらひっくり返ってしまった宝箱を表に返し、中身を一つ一つ手に取り再び宝箱の中へと仕舞う。



あぁ、懐かしい……。
一つ一つが懐かしくて涙が出そう。

表に返したばかりの宝箱の横には、小学校の頃に大事にしていたシールやビーズ。
小さく折った友達からの手紙やキーホルダー。
それに、編みかけの手袋も落ちていた。


編みかけの手袋を手に取ると、谷崎くんを思って編んでいた当時を思い出した。



これは六年生の冬に谷崎くんの誕生日にプレゼントしようと思った手袋だ。
この手袋を編む時に指の所が難しくて挫折したんだよな……。
編み棒を付け替えた所からわからなくなったっけ。

無事に完成したら、既製品じゃなくてこっちを渡すつもりだったのに。



しみじみと懐かしい思い出に浸りながら、周りに落ちた物を一つずつ拾い上げて宝箱の中身を見て満足すると、散乱していた全ての物を再び宝箱の中に仕舞った。