愛里紗は手始めに指先を伸ばしてジャンプを始めた。



「えいっ。もうちょい…」



宝箱を目掛けて真っ直ぐにジャンプをしたけど、なかなか思うように指が届かない。

ほんの少し沸いてしまった興味は、届かぬ間に執着へと誘ってしまう。



「あともう一息!えいっ……えいっ……」



幾度となくジャンプを繰り返していくうちに、積み重なっている宝箱の二つ下の箱に指が少し触れて箱の位置がズレて角が2センチほど手前に近付いた。

愛里紗はズレた箱の角の裏の凹部分を狙い、次の一瞬で勢いよく指を右に払う。


すると……。



ドンッ………ゴソッ……バン……
バサーッ…



箱が落下した衝撃で宝箱と共に積み重なっていた二つの箱も全てひっくり返り、紙製の宝箱の中身が埃まみれの床にバサーッと散乱した。