ところが、物置の扉を閉じようとした瞬間……。
左前方のスチール棚の上段隅に積み重ねてある、ある物が視界に飛び込んだ。

そのある物が、閉じかけた扉を再び開けるキッカケとなり、もう一度物置の中へと戻る。


着目したそのある物とは、数年ぶりに目にした小学生時代の思い出の宝箱。




「うわぁ、懐かしい…。これこれ!昔、大事にしてた宝箱じゃん」



あれは、まだ小学校に上がりたての頃。
お歳暮で頂いた箱にシールや折り紙を貼って自分専用の宝箱にしてた。

…でも、いつ物置の隅に仕舞ったかなぁ。
宝箱の中には何を入れたっけ?
全然覚えてないや。



久しぶりに懐かしい宝箱を目にした愛里紗は、中身が気になって開けたい衝動に駆られた。


しかし、宝箱の下には別の箱も二つ積み重なっていて、残念ながら手を伸ばしても届かない。


届かないとなると尚更気になる。
中にどうでもいい物が入っていたとしても、確認するまで気が治らない。