陶器のマグカップの破片を二人で一つ一つ丁寧にビニール袋に入れていると……。


ピーンポーン……


突然インターフォンが鳴った。



「……あら、誰かしら?」



母は作業をしていた手を止めて立ち上がり、壁面に設置されているインターフォンの受話器を手にとる。
愛里紗も同時にモニターに映し出されている映像を見ると、そこには隣の家の奥さんが映っていた。



「おはようございます。……あっ、はい。えぇ……。いま行きますね」



母は受話器を戻すと、エプロンのポケットから物置の鍵を出して愛里紗に手渡す。



「…いまお隣さんが回覧板を届けに来てくれたから、お母さんの代わりに物置からホウキとチリトリを持ってきてくれない?」

「いいよ~」



愛里紗は母から物置の鍵を受け取ると、一階のリビング窓を開けて足元のサンダルを履き、外の物置へと移動した。