私は理玖から指摘されていた悪い癖から抜けきれず、不意に訪れた現実に立ち向かえずに逃げ出してしまった。
強い人間じゃないから、咲の過ちを許す事が出来ない。



「愛里紗………。最後まで話を聞いて。まだ全部伝えてないんだよ…。愛里紗だけじゃなくて、私だって初恋だったんだよ……」



咲は愛里紗に追いつけなくなると途中で立ち止まり、膝をガクッと落として地べたに座り込み、顔を押さえてワッと泣き崩れた。








……お互い大切に思っていた親友。

くだらない話をして一緒に笑ったり、テスト前には一緒に勉強したり。
時には、誰にも言えないような大事な相談をしたり。
家にも頻繁に泊まり合った。

いつも仲良い姉妹のように、心から信頼し合い笑顔で寄り添っていた。





しかし、たった一つの隠し事と、いつしかかけ違えたボタンによって、大事に温めてきた信頼関係に亀裂が入った。


それは、咲の予想以上に深い傷となり、多大な後悔の念に苛まれてしまう。