中庭のベンチに腰を下ろして冷静に咲の話を聞いていたけど、到底納得がいく話ではない。

好きだからとはいえ、私が谷崎くんに会いたいと知りつつも、わざわざ自分と同じ髪型をさせて告白に行った事がどうしても許せなかった。





繋がる。
繋がる繋がる……。

繋がるっ……………。




小学校の卒業アルバムを見た時の咲の驚き様。

彼の名前を聞いた時の戸惑い方や、新しい彼氏が谷崎くんだと判明しないように敢えて新しい名字を言ったり。

いつも自慢気に彼氏の話をしてたのに、写真も見せないし、名前すらはっきり答えないなんてなんか怪しいと思ってた。



「………ひどい。信じられない」



愛里紗は震える声をか細く発すると、その場から勢いよく立ち上がった。
見上げた咲は顔面蒼白に……。

だが、ノグに翔の話を伝えた時のように、しっかり話し合えばわかってくれるものだと思い込んでいた。



「愛里紗……。話はまだ終わってない」

「何……言ってるの?これ以上話す価値なんてない」



愛里紗の気持ちは既に限界を迎えていて、ワナワナと身を震わせた。


ーーしかし、次の瞬間。

咲は思いも寄らぬ言葉をポツリと呟く。



「だって、愛里紗には理玖くんがいるじゃん」



咲は愛里紗を宥めるどころか、現在彼氏の理玖の名前を挙げるとキュッと唇を結んだ。