愛里紗の家に到着してから話すタイミングを伺っていた。

今回で三度目の挑戦。
大事な話だからこそ、より慎重に。



愛里紗の部屋で荷物を置いた後にベッドに腰を下ろすと、机の上の開きっぱなしの卒業アルバムが目についた。



「コレ見てもいい?」



興奮している気持ちを一旦落ち着かせる為に、アルバム方向に指をさした。





アルバムの中の愛里紗は幼くて可愛らしい。

いま現在の愛里紗は、明るくて、優しくて、ノリが良くて、芯がしっかりしていて、正義感があって、少しおっちょこちょいで、素直で。


思い切って両親の不仲で家庭環境が良くないという話を打ち明けたら……。



『じゃあ、うちに泊まりに来ればいいじゃん。お父さん出張がちで殆ど家に帰って来ないし、お母さんは専業主婦だから受け入れ体制万全だよ!私も咲が来てくれると嬉しいから一石二鳥だし』



天使のような優しさで絶望の淵から救い上げてくれた。
そんな見返りを求めない優しさがずっと好きだった。