雨は次第に勢いを増していく。


寒くて自然と肩が揺れる。
擦り合わせた指先。
足元に跳ね返る雨水。

そして、極限状態まで気持ちが追い込まている彼。



地面に叩き付ける雨音と、車が通過する音と、私達を探している母親達の声だけが耳に入る。




ザッザッザッ………




砂利を踏み締める足音が徐々に近付いて来る度に緊張感が増していき、決まらぬ覚悟に拳を強く握りしめた。



「谷崎くん。もしこのまま引越す事になったら、手紙を書いてくれる?」

「わかった。愛里紗も必ず返信して」


「うん。必ず書くね!」

「うん、約束」



彷徨うように続いていた足音が近くで止まると、懐中電灯の光が私達二人に照らされた。
二人揃って眩しい光の方に目を向けると、その先には私の母親の姿が。